小学校教諭の年収まとめ

小学校教諭平均年収 616.2万円
男性教諭平均年収 657.6万円
女性教諭平均年収 590.3万円
チャット左画像

アイミ

小学校の教諭って人口の少ない県ほど年収がいいって聞いたけど本当かしら?
チャット左画像

ミナミ

あ、そうそう私も聞いたことがあるわ。どうやら本当らしいわよ。実際に東京の小学校教諭の年収は全国で下から二番目なんだから。
チャット右画像

マリン

フフフ、それは本当と言えば本当だけど、それには理由があるのよ。なぜそうなるかその理由も含めて小学校教諭の平均年収について解説するわ。

小学校教諭の平均年収について

小学校教員の年収について解説する前に、まずは俸給と給与の違いについて説明します。
国公立の小学校教諭は公務員ですので、俸給表に基づいて俸給が支給されます。
この俸給とは企業で言う基本給です。

俸給表は級と号から構成されており、簡単に言うと級は職位、号は勤務年数や能力などの技能に対応しています。
この俸給に各種手当等がついて給与として支払われます。
年収は12カ月分の給与にボーナスを足した金額ですが、ボーナスは年ごとに若干異なりますが、一般的には号俸の4.5か月分です。

今回の調査では給与は号俸から算出し、年収は給与の12か月分にボーナス分となる号俸の4.5か月分を加算しています。
また、データは以下の厚生労働省のサイトから引用し、年収は平均年収.JP独自の調査に基づいた計算式を用いて算出しています。

厚生労働省賃金構造基本統計調査

最初に小学校教員全体の平均年収と平均年齢を以下の表に示します。
小学校教員全体の平均年収は616.2万円、平均年齢は42.6歳でした。
男性教諭の平均年収は657.6万円、女性教諭は590.3万円と男性教諭の方が高い結果でした。

小学校教員全体の平均年収
属性 年収(万円) 平均年齢(歳)
小学校教諭全体 616.2 42.6
男性教諭 657.6 43.4
女性教諭 590.3 42.1

次は小学校教員の職名ごとの平均年収を見てみましょう。以下の表に職名ごとの平均年収を示します。
最も高かったのが校長先生で平均年収は827.1万円でした。
一般企業ですと部長クラスになると年収1,000万円を超えてきますので、校長先生になったとしても良い年収を貰えるとは言えません。
教頭先生と副校長先生の平均年収はそれぞれ787.5万円、782.4万円とほぼ同額でした。
教諭に関しては平均年収590.7万円とまずまずの年収となっています。
最も低かったのが養護助教諭の412.4万円でしたが、それでも400万円を超えていますので、小学校教員は賃金の差は小さいですが全般的に賃金に恵まれていると言えます。

職名ごとの平均年収
職名 平均年収(万円)
校長 827.1
副校長 782.4
教頭 787.5
主幹教諭 750.0
指導教諭 757.7
教諭 590.7
助教諭 496.3
講師 443.0
養護教諭 612.5
養護助教諭 412.4
栄養教諭 593.1

小学校教諭の初任給と職位と年収について

同じ校長先生でも勤務年数などが異なると年収は異なります。
特に小学校教諭は新卒から定年間近まで年齢の幅が広いので年収の幅も広いことが予想されます。
実際にどれくらいの幅があるのか調査しました。以下のグラフがその結果です。

各職名は号俸表の級に対応しており、それぞれの職名における年収の開きは号に対応しています。
最も開きがあるのが教諭であり、最高額と最低額の差は454万円でした。非常に大きな開きとなっています。
最高額は801.3万円と校長の最低額を上回っていますので、号俸表の級はそれほど大きく年収に反映されているという訳ではなく、真面目に働きながら勤続年数を重ねていくと自然と高年収になっていくことが分かります。

校長は号俸表で最上位の級ですが、最高年収は876.3万円とそれほど高くはありません。
一方で最高額と最低額の差は112.5万円と大きな差は見られていません。

職名ごとの年収幅

職名ごとの平均給与についての画像

職名 最低額(万円) 最高額(万円) 差額(万円)
助教諭 390.6 621.9 231.3
教諭 347.3 801.3 454.0
主任教諭 577.4 815.2 237.8
教頭 719.0 831.5 112.5
校長 740.9 876.3 135.4

小学校教員の年齢における平均年収の推移

下の表に平均年収.JPが独自に算出した小学校教員の推定年収推移のグラフを示します。
平成31年度の地方公務員給与実態調査結果では大学卒の小学校教諭の全国平均の初任給は207,628円となっています。
その後徐々に増加していき、30歳で476.7万円、40歳で594.1万円、50歳で703.4万円となりました。
55歳で年収のピークを迎えており、その額は741.8万円でした。

小学校教員の年収推移の表

年齢による平均年収推移についての画像

年齢 年収(万円)
30歳 476.7
40歳 594.1
50歳 703.4
55歳 741.8
60歳 646.2

小学校教諭の都道府県ごとの年収の違い

小学校教諭の年収は都道府県により異なるのですが、意外な結果で驚かれると思います。
最も年収が低い都道府県は何と大阪府で564.3万円、その次に安いのが東京都で576.6万円でした。
東京都や大阪府は人口が多く平均年収は他の県と比較すると非常に高くなっていますが、小学校教諭の年収に関してはその逆で全国的に見ても最低レベルです。
一方で、最も高い都道府県は秋田県で711.5万円となっています。
これは一体何が起こっているのでしょうか?以下でじっくりと解説いたします。

都道府県ごとの小学校教諭の平均年収

以下に都道府県ごとの小学校教諭の平均年収及び平均勤務年数の表を、年収の高い順に示しています。
すると見事に東北地方が高いという結果が見られています。
その次に九州の各県がランクインしており大都市を持つ都道府県はベスト10には全く入っていません。
まるで人口が少ない方が小学校教諭の平均年収が高いように見えます。

都道府県 全体平均年収(万円) 平均勤務年数(年) 順位
秋田 711.5 24.7 1
岩手 698.1 24.7 2
福島 697.2 22.8 3
青森 681.4 23.4 4
山形 681.4 23.6 4
長崎 676.1 23.4 6
鹿児島 670.6 21.4 7
熊本 670.2 21.7 8
高知 665.3 22 9
宮崎 664.9 22.8 10
愛媛 661.6 23 11
佐賀 656.3 21.6 12
大分 653.0 21.8 13
福井 650.1 20.7 14
山梨 648.2 22 15
新潟 648.2 20.3 15
茨城 648.1 22 17
島根 647.9 21.1 18
北海道 647.7 18.7 19
長野 646.6 21.5 20
宮城 642.4 20.1 21
静岡 639.8 19.6 22
群馬 638.9 20.2 23
岐阜 636.9 20.1 24
山口 636.9 20.3 24
栃木 635.4 20.6 26
徳島 630.5 19.3 27
広島 628.6 18.2 28
富山 625.5 19.3 29
香川 621.1 19.1 30
三重 620.9 19 31
和歌山 620.9 18.1 31
石川 618.6 18.9 33
鳥取 613.8 19.6 34
岡山 609.9 18.4 35
沖縄 608.3 15.1 36
福岡 605.5 18 37
奈良 589.8 16.2 38
愛知 587.6 16.3 39
兵庫 586.7 16.3 40
千葉 586.5 16.6 41
埼玉 584.6 15.3 42
京都 582.1 15.1 43
滋賀 579.7 17.3 44
神奈川 577.1 14.2 45
東京 576.6 14.5 46
大阪 564.3 13.2 47
平均年収と平均勤務年数の関係

小学校教諭の平均年収に関連している要因は何かと申しますと、以下のグラフを見て頂くと一目瞭然です。
平均年収と平均勤務年数をプロットしてみると両者の間には強い相関があることが分かります。
平均年収が高い県はズバリ平均勤務年数が長いからなのです。
下のグラフでは、年収の高い秋田県や岩手県の平均勤務年数を見てみますとどちらも24.7年と非常に長いことが分かります。

俸給は都道府県ごとに俸給表で決まっていますが内容には大差はなく、初任給から年収の伸び率までほとんど変わりません。
つまり、一見年収が良いからと言って秋田県で小学校教諭になっても年収は高くなるということはありません。

年収と勤務年数についての画像

秋田県と大阪府の小学校教諭の年齢ごとの人数

以下に年収が最も高い秋田県と年収が最も低い大阪府の年齢ごとの人数を示します。
すると、両者の間には明確な違いが見られています。
秋田県は高年齢側にピークを持っており、一方の大阪府は低年齢側にピークを持っています。
つまり、両者とも年齢の分布が不均衡ですが、その性質は真逆であることが言えます。
秋田県は1990年以前に採用した教員が多すぎて若い世代を雇えず、大阪府は逆に高齢の教員が少なく教員不足を補うために若い世代を大量に採用しているのです。

秋田県と大阪府の人数についての画像

小学校教諭の年齢と人数

小学校教諭全体の年齢ごとの人数を以下のグラフに示します。
ご覧の通り43歳付近が少なく、43歳以上と43歳以下に山が出来ています。
これは2000年前後の教員採用試験で採用者数が極端に低くなっていることが原因です。
因みに2000年の教員採用試験の合格率は過去最高で高く、小学校教諭では12倍を超えていました。

小学校教諭の人数についての画像


都道府県ごとの平均年収と小学校教諭の平均年収の比率

今度は小学校教諭の年収は勤務する都道府県の平均年収と比較して高いのか低いのかを調べてみました。
下の表には小学校教諭の平均年収と各都道府県の平均年収、そして両者の比率を載せています。
すると、関東地方と関西地方が平均年収と比べて極端に低くなっていました。
東京都の小学校教諭の平均年齢は40.0歳で、東京都の労働者全体の平均年齢は42.5歳ですので年齢的に大差はありません。
しかし、年収には大きな差が出ていますので、ここから分かることは大都市圏では小学校教諭よりも割のいい仕事が沢山あるということになります。

都道府県 小学校教諭年収 都道府県平均 年収比
北海道 647.7 528.5 123%
青森 681.4 457.6 149%
岩手 698.1 473.4 147%
宮城 642.4 574.5 112%
秋田 711.5 475.5 150%
山形 681.4 491.7 139%
福島 697.2 527.9 132%
茨城 648.1 622.4 104%
栃木 635.4 609.2 104%
群馬 638.9 585.7 109%
埼玉 584.6 601.6 97%
千葉 586.5 619.1 95%
東京 576.6 783.6 74%
神奈川 577.1 677.1 85%
新潟 648.2 515.7 126%
富山 625.5 544.5 115%
石川 618.6 567.1 109%
福井 650.1 555.5 117%
山梨 648.2 582.4 111%
長野 646.6 562.3 115%
岐阜 636.9 568.6 112%
静岡 639.8 607.0 105%
愛知 587.6 687.3 85%
三重 620.9 625.3 99%
滋賀 579.7 616.1 94%
京都 582.1 634.9 92%
大阪 564.3 672.5 84%
兵庫 586.7 613.3 96%
奈良 589.8 598.4 99%
和歌山 620.9 577.1 108%
鳥取 613.8 504.8 122%
島根 647.9 514.5 126%
岡山 609.9 549.9 111%
広島 628.6 619.5 101%
山口 636.9 566.9 112%
徳島 630.5 560.7 112%
香川 621.1 562.5 110%
愛媛 661.6 528.0 125%
高知 665.3 502.0 133%
福岡 605.5 573.1 106%
佐賀 656.3 498.5 132%
長崎 676.1 515.2 131%
熊本 670.2 510.8 131%
大分 653.0 524.7 124%
宮崎 664.9 465.6 143%
鹿児島 670.6 488.2 137%
沖縄 608.3 466.2 130%

小学校教諭になるのは難しいの?

小学校教諭になるのは難しいかについて解説いたします。
小学校の教員免許自体を取得することは大学受験で合格出来れば後はそれほど難しくはありません。
教職課程のある大学へ入学して所定の単位を取得し、卒業後に各都道府県教育委員会に教員免許状の授与申請を行うことですれば貰えます。
しかし、教員免許を取得した後で教員採用試験に合格しなければ教員にはなれませんので、この教員採用試験が難関であると言えます。
ちなみに試験は公立校の先生の採用は自治体が行い、私立は学校が独自に行っていますので日程が合えば両方を受験できます。

難易度を変動させる最大の要因は倍率です。
倍率が高いとそれだけ合格が難しくなっていきますので、倍率の低い年に受験できれば採用されやすくなります。
そこで、ここ数年の受験者数と採用者数、倍率のデータを見てみます。データは文部科学省から引用しました。
文部科学省では2026年までの予定採用者数まで公表していましたので、受験者数の動向から2026年までの予想倍率も算出しました。

倍率ですが、2011年で4.5倍ありましたがここ数年で大きく低下しており、2020年には2.7倍にまで低下しています。
受験者数は減少傾向を示していますが、将来的にも大学生の減少が予想されていますので受験者数は今後も低下傾向であると予想されます。
一方で文部科学省が示している採用予定者数も減少していますので、2.7倍付近から大きな変動はないと推測します。

また、採用試験は各自治体が実施していますので、倍率は自治体ごとに異なります。
2020年の小学校教諭採用試験で最も倍率が低かったのは新潟県で1.2倍でしたので、倍率の高い県を避けて受験することも合格への近道であると言えます。

小学校教員採用試験と倍率及び今後の予想

採用倍率についての画像

年度 受験者数 採用者数 倍率
2011 57817 12883 4.5
2012 59230 13598 4.4
2013 58703 13626 4.3
2014 57178 13783 4.1
2015 55834 14355 3.9
2016 53606 14699 3.6
2017 52161 15019 3.5
2018 51197 15935 3.2
2019 47661 17029 2.8
2020 44710 16693 2.7

まとめ

小学校の教諭の平均年収は全国的な平均年収よりも高いのですが、地域によりはっきりと差が出ていることが分かりました。
全国的に見て小学校教諭の年収はどの都道府県でも似たような年収になります。
つまり、平均年収の低い県では小学校教諭の平均年収は県の平均年収よりも高くなっていますが、一方で東京など平均年収が高い都県では小学校教諭の方が平均年収が低いということになります。
採用試験の倍率が低く相対年収の高い地方で小学校教諭になるのがコスパ的に良いと言えます。

また、これまでの採用した人数も地方と都市部でまばらであり、そのいびつな年齢構成が平均年収に反映されています。
この理由は将来的な人口の変動を考慮しなかった結果であると思われます。

小学校の先生の口コミ

30歳 男性 北海道勤務 公立小学校教諭

現在の年収は580万です。
初任給は19万だったのを覚えています。私は先生という職業にあこがれて入ったためそんなに年収はこだわりませんでした。
でも実際に30歳で年収500万以上もらえるのは、周りの友人からもうらやましがられます。
先生で利点なのは、やはり教えることが楽しいこと、休暇をとりやすいのも利点かもしれません。
あとは子供たちの成長を見守れるのでそれに一番やりがいを感じます。
つらいところは、モンスターペアレンツからクレームがきたりすることです。自分のクラスでは学級崩壊はないですが他の学校ではそういうこともあるということも聞きました。
年収はそれなりによく、一生安定する職業だと思うので、志があればぜひとも先生になってみてください。
もちろん精神的にも大変な部分はありますがやりがいが見つかれば本当に素敵な職業だと思います。

24歳 女性 東京勤務 公立小学校教諭

現在の年収は420万です。 特殊教室の担任をしています。 障害を持った子供たちの副担任として今担任の下で一緒に授業を行ってます。
障碍者の子供たちということもあり意思疎通ができないときなどはすごい自分に悔しいと思うこともありますが、やはり子供たちがどんどん成長していく姿をみるのはうれしくそれが今のやりがいとなっています。
先生になった理由は、年収と安定した職業というのに魅力を感じました。それで最初はやろうと思いましたが今は、成長を間近で見る事ができてそれにやりがいを持ってます。

執筆・監修者 平均年収.jp 編集チーム
平均年収.jp編集部

外資系出身者・職業紹介本原作者、FP資格保有者・専門ライター、キャリアコンサルタント・大手出版編集者などのメンバーが参画
執筆者・監修者一覧

その他職業の年収

▲このページのトップへ戻る